武蔵野美術大学油絵学科特別講義 作家探訪シリーズ:椛田ちひろ

会場:武蔵野美術大学(2号館206教室)/東京
日時:2013年5月20日(月)16:30〜

          
                    

 

彼女は学生時代バイクに乗っていた。どこまでもバイクで出掛けていって、そこで目の前に現れた巨大な鉄塔に圧倒され、それを絵に描いたりしていた。卒業後しばらく経ってから作品を見る機会があったが、強いストロークで油絵具がキャンバスに塗り込められ、重厚な表面を持つ印象的な絵画に変容していた。ブレーキ痕のように見える素早い筆触がある油絵の表面は、アスファルトの道路の表面のようであったかもしれない。最近の東京都現代美術館のMOTアニュアルでのボールペンのつやつやした黒い表面。僕にはボールペンの鋼球をタイヤに見立て、椛田さんがバイクに乗って自分を驚かす風景を探しにどこまでも出掛けているようにも見える。本当のところは今度の講義で聴いてみようと思う。

油絵学科教授 赤塚祐二