新作個展 フォロウイング・ザ・シャドウ 会場:アートフロントギャラリー/東京 椛田ちひろは1978年福岡生まれ東京育ち。2004年に武蔵野美術大学大学院を修了後、アーティストとして活動を始める。2011年のMot Annual、2012年のVOCA展2012に参加し注目を集める。アートフロントギャラリーでは2010年以降作品を発表し、今回で5回目の展示となる。最近では2013年のスイスでの開催した個展をはじめ、シンガポールでのレジデンスなど海外における発表も目立っている。 椛田ちひろの作品は筆を使わず指と手で書いていく油彩画とボールペンによる線の重なりによって表現される抽象的な世界が主なものだが、自身のコンセプトである見えないものをとらえるという表現において鏡やアクリルなど透明性を帯びるものも時々選択される。 過去数回のアートフロントギャラリーの展示ではその回を重ねるごとに様々な素材を用いて新しい方向性を見せてきている。椛田の平面における抽象的なかたちは昨年のシンガポールにおけるレジデンス以降ある領域に達したように見える。今年1月のシンガポールで出品されていた作品ではより洗練された平面作品(川のシリーズ)を見せているが同時に大きな立体のアクリル作品を発表している。それはともすれば、その表現が平面に収まりきらない状態になってきているようである。 今回の展示において椛田はより空間的なインスタレーションを目指している。そのキーワードとなるのは影である。影もまたつかみどころのない見えないものだと椛田は言う。 谷崎潤一郎の陰翳礼讃にもみられるように日本人は影に対して独特な美の意識を持っている。椛田の影や闇に対する意識とは一体どんなものだろうか?ギャラリーという西洋的な明るく白い空間において椛田はどんな影を見せるのだろうか? 影というのはある物体に光が当たってその姿を空間上に転移した形であるが、その姿は環境によって実際の物体から想像もつかないかたちを見せることがある。 今回アートフロントギャラリーにおいて、椛田が掴み取る影の形はきっとだれも想像できないような新しいかたちであると期待したい。 (アートフロントギャラリーのウェブサイトより抜粋)
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